パステル画

  パステル画で有名なのはDe.gas(ドガ,仏)で,様々な姿態のバレーダンサーを描いた絵が知られており,彼はパステル画の名を広めた貢献者と言える。

   今まではパステルは油彩画の前の試し描き,子供の物,長持ちしない,パステル画は売れなと
言われて来たが,現在のパステル画は,油絵と見紛う程の秀作が沢山ある。題材も,人物,静物,風景 動物,具象,抽象,と多くのジャンルを持つ。

   絵画のMedium(媒体)-(油絵具,アクリル,オイルパステル,水彩絵具)の中では最も安定した素材と言われる。それはチョークの様なパステル(ソフトパステル)を作るのに,主原料は,色素(ピグメント)であり,それを形作るのに,極力溶剤の様な添加物(化学物質)を使う事を嫌う為,時間の経過による色調の変化,退色が極めて少なく最も安定したMedium と言われる所以である。

   パステルは各色をミツクスして他の色を作り出すのが難しく,その為多くの微妙に違った色調のパステルを持つのが秘訣である。  以前も今も ストローク(線)を残すのが,パステル画と言われるが,私は必ずしもそうは思わない。  自由な作風があって当たり前である。

   パステル画用の紙(時にはサンドペーパーも良く使われる)や,画板は全てTeeth と呼ばれる目を持つており,その間にパステルを食い込ませて絵を描くのである。

   仕上がった絵は,時にはコンスタントに埃の様な色素が落ちてくる事があるが(額縁屋さん泣かせである),スプレー等の安定剤は私は使わない。  色調を暗くしてしまい,所謂,パステルカラーを保つことが,出来ないからてある。

   歳を取って我慢が足りなくなったせいか,油彩画の乾くのを待つ事が苦手になって来た。早めに仕上げるにはパステル画が一番と思っている。しかし油彩画の重み,深みも捨て難い物があるのは勿論である。パステル画も遅々として進まぬ事もあるし,油彩画のForgiveness は水彩画と違って私にとってはやり直しをさせてくれる一番の恩恵だと思っている。

   昔小学校の図画の時間に使われていたのはオイルパステル(クレパスと言われていた)で,色素に動物脂等を練りこんだ物で,油絵具の様に,色をミツクスして他の色を作り出す事ができ,又溶剤を加えのばす事ができる。

   子供の頃は,他の級友の様に何色もあるクレパスが欲しかったが,父親が最小のバラエテイ(せいぜい6-10色程)のクレパスを私に与えて,色はミックスして作り出すものだと言われて,うらめしく思ったものである。

   私はソフトパステルは約750色,ハードパステルを加えると960色位持つており,4-5種類
違った会社の製品の色も微妙に違っていて,かえって色の選択に困る事がある。  今でも全く使っていないパステルがある事も事実てある。

   色鉛筆やいくつかのハードパステルを使って絵を描き始める事をお薦めします。自分の名前を書ける人は,誰でも絵を描く事ができると私は信じています。

   宇佐美朝子ギレスピー      (昭和37年卒)                4/10/2014